ykondo813’s diary(旧パワエレ・EMC日記)

高周波、電磁気学、電気回路について勉強したことをまとめたものです

Sパラメータの基準インピーダンス変換

 あるインピーダンスZ0系で求めたSパラメータを、別のインピーダンスZ'0系でのSパラメータに変換することを考える。普通のベクトルネットワークアナライザで測定されるSパラメータは、全てのポートが50Ωで終端された50Ω系でのSパラメータであるが、これをテレビなどで使われている75Ω系でのSパラメータに変換する場合が該当する。
 こちらのページではSパラメータとFパラメータの関係式から変換する方法が述べられているが、ここではZパラメータを用いた変換式を示したい。
 http://www.mogami.com/paper/sparameter/sparameter-01.html

 あるn端子対回路網のZ0系でのSパラメータをS、Z'0系のSパラメータをS’とする。ここでポートが何Ω系であっても、その回路網のZパラメータは不変である。ゆえにZ0系でのSパラメータを一度Zパラメータに変換し、その後Z'0を用いてZ'0系のSパラメータに変換すれば良い。
 Z0系でのSパラメータとZパラメータの関係式は下記の通り(下記の日記参照)。
  
  
Z'0系のSパラメータをZパラメータで表すと、下記となる。
  
Z0系でのSパラメータから求めたZパラメータを、Z'0系のSパラメータの式に代入してやればSパラメータの変換式が求まる。Z'0系のSパラメータの分母は
  
となり、分子は
  
となる。ここでスカラー値ρを以下のように置く。
  
するとS’は以下となる。
  
これは、TDKの文献の式と同じとなる。
 ここではZパラメータから変換する手順を示したが、ポートのインピーダンスに依存しないパラメータを媒介して変換すればSパラメータの基準インピーダンス変換は可能である。Yパラメータを媒介してもよい。