銅損とフーリエ変換について
任意の電流波形が与えられたときの、配線に流れる損失について考えてみました。
元々はスイッチングによる降圧を行っているときの三角波電流に対して、配線抵抗による損失がどのようになるのか、という問題です。
よくあるのは、電流波形をフーリエ変換して、各周波数に対する損失の総和をとればよい、ということですが、これがどこまで正しいのかを確認してみました。
結論からいうと、フーリエ変換の基礎を知っていれば、この考え方は正しいです。
フーリエ級数の直交性から確認することができます。以下にその式を書きます。
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ある抵抗Rに電流iがある周期Tの波形で流れているとする。
抵抗で消費する電力(損失)は、電流による電圧降下分と電流の積になるので、瞬時の電力pは
となる。電流i(t)を周期Tでフーリエ級数展開する。
ここでi0は電流i(t)の時間平均値であり、直流成分である。フーリエ展開した電流iを電力の式に代入する。
この式は瞬時の電力である。時間平均化された電力は以下の式となる。
ここで,三角関数の直交性よりn=m以外の項はゼロとなり平均電力は以下となる。
この式の意味は、電流の直流成分i0による直流損失と、フーリエ級数展開によって得られる各周波数の交流成分inによる交流損失の総和によって平均電力が得られることである。
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以上のように、フーリエ級数展開と三角関数の直交性によって、平均電力が各周波数成分の損失の総和を求めることが数学的にも可能であることを示されました。
今後は、表皮効果による銅損の増加に対して、周波数分解ができるかを式を書いて議論したいと思います。