パワーMOSの動作原理
パワーMOSFETについて書きたいと思います。
パワーMOSFETは、要は高速でON/OFFを制御できるスイッチのことです。
高速でスイッチをON/OFFすることで電圧を可変で制御することができるため、身の回りの様々な機器で使われています。
同じような機能を持つ素子として、IGBTやサイリスタなどがありますが、スイッチング速度や使用されるときの直流電圧の違いにより住み分けがされています。
パワーMOSはその中でも比較的低電圧(数十V)で使われています。構造上耐圧を上げると損失が大きくなってしまうので、数百VとかですとIGBTが使用されるようです。
これは横型MOSFETの構造を示したものです。この状態ですと、ドレインとソースの間はpnp接続となるため、電流は流れません。
ここでゲートに電圧をかけて電界Eを発生させると、p層のゲート近傍に電子が集中します。p層は電子が不足していますが、それでも自由電子をわずかに含むので、ゲート近傍のごく一部はn層に反転します。
すると、ドレイン-ソース間がn層とみなせるので、導通状態になりスイッチとしてはON状態になります。ドレイン→ソースでも、ソース→ドレインでもどちらでも電流を流すことができます。
バイポーラトランジスタではベース電流にてON/OFFを制御しますが、MOSFETの場合は電圧(電界)で制御します。電界で制御するので、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)と呼びます。
実際のパワーMOSは大きな電流を流す必要があるので、縦型の場合が多いのです。また今度、電界をかけたときの動作を絵にしたいと思います。
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